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溶接部の残留応力

溶接部の残留応力の発生原因は,溶接部に生じた固有ひずみ(残存した塑性ひずみ)が主要因である事は広く知られています。

この固有ひずみを低減させるために、溶接後熱処理(PWHT)という処理を行うことがありますが、これは溶接構造物を昇温してやり、溶接部にクリープ変形を生じさせることで、溶接残留応力の原因となっている固有ひずみを低減させ、残存する残留応力を低減しようというものです。

この溶接後の熱処理による溶接残留応力低減の機構については、昇温に伴う降伏応力の低下により、残留応力が低減されると理解されている場合があるようですが、以下の理由から一概にその解釈は正しいとは言えないといわれています。

材料の温度が上昇するに伴って降伏応力自体は低下しますが、それと同時に弾性率(E)も低下するため,残留応力の原因となっている残留している塑性ひずみの上限を規定する、降伏ひずみσy/Eの大きさは、温度が上昇しても降伏応力ほど小さくならないといわれています。
したがって、溶接部に存在する固有ひずみの大きさは、降伏応力の低下ほど小さくならず、残留応力自体もそれほど低減は期待できないというわけです。
なので、溶接後熱処理(PWHT)で溶接残留応力が低減されるメカニズムは、クリープ現象による固有ひずみの低減あるいは解消によると考えるのが自然でしょう。

なお、溶接後熱処理を行う際の注意点として、大きな溶接構造物などのように、構造物を炉に入れて熱処理することができない場合や、現地で組立るような溶接継手では,溶接継手付近だけを加熱する局部的な溶接後の熱処理を行う場合があります。


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