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溶接部の残留応力について

熱が加えられることにより、多くの物体は膨張しようとします。したがって熱は物体を変形させる外力と同じ働きをすると言う事がいえます。

均質な物体が満遍なくに加熱されるときには、自由に膨張し、しかもその変形は等方的であるといえます。しかし、溶接のように溶接部分のみが局部的に加熱されるような場合は、その膨張が周囲の材料によって妨げられてしまい、物体内に「熱応力(thermal stress)」が生じます。その熱応力が残留応力をもたらす原因となるのです。

通常の鋼溶接部では溶接部近傍のみが加熱・冷却されますが、それによって生じる膨張・収縮の熱変形が周りの母材によって拘束されます。鋼材は温度とともに降伏応力は小さくなり、加熱途中で材料に圧縮の塑性変形が生じることになります。
すなわち、この圧縮の塑性歪のために、冷却された後では溶接部のみが、周りの母材に引張られるため、鋼溶接部近傍には引張りの残留応力が生じることになるのです。
結果的に、溶接部に相当する部材が一定の温度まで加熱し冷却されるときには、加熱過程で圧縮の応力と塑性歪が生じ、冷却過程で引張応力へと変わって、最終的に引張残留応力生じることになるます。

溶接残留応力をもたらす原因としては主に、①溶接熱サイクルによる溶接部近傍の母材に生じる塑性歪ですが、それ以外にも溶接残留応力をもたらす原因として、②溶接金属の凝固時における母材の熱膨張によって生じる食い違いや、③溶接金属が凝固してから冷却までに生じる収縮と塑性歪、が考えられます。
ただし溶接残留応力に関しては、③の影響は小さく、また、②が原因として生じる残留応力は、比較的幅の狭い板の突合せの場合や、溶接部近傍が何らかの原因によって拘束されている場合などを除いて大きくないといわれています。


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